「GCR/RV関連情報」イラク国内動向!クルディスタン地方政府(KRG)との状況進展!?

ここ数か月間、イラク国内における最大の課題となっているのが「イラク政府(バクダット)とクルディスタン地方政府(KRG)との関係改善」です。
目次
クルディスタン地方政府(KRG)との関係改善へ向けた取り組み


イラクディナールのRV(通過価値再評価)を実施するために、イラク政府は様々な対策を実施。着実に条件をクリアーしてきています。
そんな中、現在最大の課題となっているのが
クルディスタン地方政府(KRG)との関係改善
です。
イラク共和国は連邦共和制国家であり、共和国の一員であるクルディスタン地域との関係が改善されないことには、イラクディナールのRV(通過価値再評価)を実施することが出来ないのでは?と考えられています。
イラク国内のクルディスタン地域(Kurdistan Region of Iraq, KRI)に対する問題は、長い歴史的・民族的背景と、政治的・経済的利権の対立によって複雑化しています。
要点のみを記すると
まずイラク国内のクルド人は、サダム・フセイン政権下で長年にわたり弾圧・迫害を受けてたことが、事の発端となっています。
その後、2005年に制定されたイラク新憲法によってクルディスタン地域は連邦内の自治地域として正式に認められることとなりました。
クルディスタン地域に対する3つの課題


クルディスタン地域が連邦内の自治地域となってからも、イラク政府(共和国政府)とクルディスタン地方政府(KRG)との間で揉め事が続いています。
詳細は割愛させていただきますが、現在まで続いている重要な3つの課題が下記となります。
1.原油資源の管理
*クルディスタン地域は石油資源が豊富。KRGはバグダッド中央政府を介さずに、独自に石油を輸出(主にトルコ経由)していました。これに対して中央政府は「憲法違反」と主張し、対立激化。現在、新たな協定を結ぶ最終段階に来ています。
2.2017年 独立住民投票
*KRGは独立を問う住民投票を実施(賛成92%)。この動きを容認できない中央政府は報復として、キルクークなどの係争地に軍を展開し、奪還。民族問題として禍根を残しています。
3.予算分配と給与問題
*バグダッドは、クルディスタンに対する連邦予算の送金を停止・制限しています。(上記のような課題に対する交渉材料となっています。)KRGは職員への給与が支払えない危機に陥る状況に。2023年から一部送金再開も、遅延や条件付きで、緊張が続いています。
クルディスタン地方政府への「予算分配と給与問題 」が進展!?「マイアカウント」プロジェクト


クルディスタン地域を対象として前項「3:予算分配と給与問題」に対する状況進展となる
「マイアカウント」プロジェクト
が始動しています。
「マイアカウント」プロジェクトとは、約80万人のクルディスタン地方公務員を銀行口座の設立&登録を行うものです。
もともとイラク中央政府からクルディスタン地方政府へは現金紙幣にて公務員給与が支払われていました。
しかし、クルディスタン地方政府が一部を搾取。適切に地方公務員に給与が支払われていないという問題がありました。(そのため中央政府は給与支払いを停止するなどの措置を実施することが繰り返されてきました)
そのような課題を解決するための施策が「マイアカウント・プロジェクト」であり、現金ベースの給与支払いからデジタル給与支払いに移行することが推進されています。
先日、プロジェクトチームは、クルディスタン地域全体に残っているすべての公務員が間もなく銀行口座を取得。公務員全員が最新の銀行サービスへのアクセスを確保することを確認したようです。
更に保健、教育、高等教育を含む主要省庁の数千人の従業員の給与が初めて個人の銀行口座へ向けて送金に成功したことが明らかとなっています。
今後の注目点!?


今回「マイアカウント・プロジェクト」が始動したことにより、クルディスタン地域に対する「予算配分と給与問題」の解決の見通しがたったと言えます。
当該施策によってクルディスタン地方政府(KRG)による資金(予算・給与)搾取が断たれることとなれば、イラク中央政府とクルディスタン地方政府(KRG)との関係性が正常化へ向かう可能性が高まることに。
「予算配分」と密接な関りがある「クルディスタン地域の原油資源の管理」の解決
へ繋がるのではと。
更に当該問題の解決がイラクディナールのRV(通貨価値再評価)の実施へ繋がることが期待されます。