【GCR/RV関連情報】アメリカがイラクへの現金ドル送金を停止──これは「金融封鎖」の始まりか?

イラク国内市場における課題のひとつが「米ドル」の存在です。米ドルを排除して、イラクディナール中心の市場経済とすることがイラクディナールのRVをする上で必要不可欠な要素となるからです。
目次
米国がイラクへの現金米ドル送金を停止へ


先日、米国政府はイラクへの現金ドルの輸送を完全に停止するという決定を下しました。この動きは、単なる金融上の措置ではなく、一部では「金融封鎖の始まり」とも受け止められています。
ただ、その背景には、イラク国内の一部銀行が国際制裁対象国へのドル密輸に関与していたとの疑いがあること。そんな腐敗した銀行に対する対応の可能性があります。
米国の措置は「国家」ではなく「特定銀行」への制裁


今回の措置について、米国の真の狙いはイラク国家全体ではなく、あくまで違法な資金移動に関与している特定の銀行や金融機関に向けられたものであると考えられています。
問題とされているのは、これらの銀行が、イランやシリア、レバノンといった制裁対象国へドルを流出させていたという疑いです。これが米国財務省を刺激し、米ドルの動きに対する規制強化を促すこととなったようです。
為替市場への即時影響──ドル為替レートが急落


この発表とほぼ同時に、イラク国内のドル為替レートが大きく下落しました。これは市場にとって予想外の反応ではなく
「現金供給の抑制により、密輸が困難になったため、地元市場でのドル供給が増え、一時的に価格が下がった」
と分析されています。
つまり、市場の一部で独占的にドルを管理していた勢力が弱まり、流通が相対的に“正常化”したとも言える状況です。
イラク政府&イラク中央銀行(CBI)の金融改革(RVなど)へ向けた取り組み


イラク政府は今年(2025年)になって、給与支払いなどの金融取引において、新たなメカニズムを導入しています。
このメカニズムでは、現金輸送に代わって、公式銀行や国際的な金融ネットワークを経由したデジタル決済プラットフォームを活用。給与・貿易・請求書の処理などが、より透明かつ追跡可能な形式で行われるようになってきました。
これは紙幣の物理的な空輸に依存していた過去の体制からの大きな転換を意味しており、マネーロンダリングや市場操作に関与する不正勢力の排除にも寄与しているとみられます
今回の米国による「現金米ドルの送金停止」の措置は、これらイラク政府&イラク中央銀行が推進してきた金融改革を後押しする動きとなります。
同時に
イラクディナールの米ドル為替レートを押し下げる力
ともなっており、イラクディナールのRV(通貨価値再評価)の基盤を整える動きとなるものと考えています。